まどかマギカに至る虚淵玄さん - アニメ方面から

まどかマギカ」が始まる前のアニメ誌での各スタッフの意気込み、みたいなところでの虚淵玄さんのコメントが面白かったので。
要約すると「板野一郎さんからは心意気を教わり、黒田洋介さんから脚本家としてのテクニックを盗んだ」といったものですが、
つまり虚淵さんがこれまで関わってきた「ブラスレイター」「ファントム」の二作での経験という事ですね。


まず「ブラスレイター」が板野一郎さん……ですが、心意気って一体って所w
まぁ、板野さんは残酷な描写を避けずに描こうというポリシーの方(何かの雑誌の第9地区についての記事でも語ってましたが)なので、そこの心意気かも知れません。
虚淵さんも畑の違うアニメでどこまで描いていいかとかは考えたでしょうし。
板野さんのポリシーはWEBアニメスタイルのこの辺(http://style.fm/as/01_talk/itano02.shtml)からも見えますね。


次に「ファントム」の黒田洋介さんですね。とは言っても僕はこの作品自体はちゃんと見てなかったのでなんですが……。
この作品では黒田洋介さんがシリーズ構成を務められていて、各話脚本として虚淵さんが入ってます。
しかし原作は虚淵さんのものであり、虚淵さんは黒田さんによる作品の再構成を目の当たりにしているということで、そこから学ぶものが多かったのだと思います。


黒田洋介さんというと、全体の物語構造で見せる展開重視なタイプの方で、反面ダイアローグがそうした展開の計算からくる作り物っぽさが出てしまう、という短所も抱えている、という方。(参考までにこの記事も : http://d.hatena.ne.jp/mattune/20090223
その辺りを考慮して「まどかマギカ」の虚淵さんを見ると、特に3話が顕著な所。
マミの死と可愛らしい魔法少女モノとは真逆の殺伐とした展開を盛り上げどころにした、物語パターンを利用した展開重視の構成でした。
ただ、先の短所も同様にあり、戦闘前のマミのまどかへ気持ちを打ち明ける会話なんかは俗に言う「死亡フラグ」的な先の展開を踏まえた計算が見えてしまい、どうにも違和感を覚えてしまう。
5話冒頭の台詞も説明っぽいし、さやかと上条の場面での屋上までの移動なんかはカット出来たんじゃないかな、とか。展開重視故の段取り的な短所が今作の辛い所。


個人的には、物語構造を重視した構成ながら、3話で引っくり返してからずっと殺伐としたままな所がきついなぁ、と。
これもうきっとずっとこうなんだろうなぁ……みたいな。
急に水着でワイワイしたり、コメディで外してくるようなバラエティの豊かさが望めなさそう、という部分がどうにも辛い。