2012年TVアニメOP6選+ED3選

※2012-12-29追記訂正


結構こういった記事を見るので、自分でもやってみようと思います。
とはいえ、自分だと10選ぶと間延びしてしまうのでOPからは6選、EDは3選という形にします。


【OP6選】
・『遊☆戯☆王ZEXAL II』「折れないハート」

基本的に順位は考えてませんが、今年一番気に入っているOPはこれですね。このOPを紹介するのが一番の目的なほど。
加藤寛崇さんが作画監督をしていて、サブキャラクターまで細かく芝居を考え、大所帯のカットも空間をしっかり作り出している作画が最高です。
須川充さんなのか、カイトの瞳アップが加々美高浩さんのラインの激情を感じさせるものになってるのもケレン味があって良い。
演出も良くて、アオリや俯瞰の尖ったパースの一枚絵を多用する小気味よさを生むために、
基本的に主人公側は右に配置されて左を向き、敵であるバリアン側は左に配置されて右を向いています。
サビの派手な一枚絵の連続もこの配置のお陰で流れができていて見やすいんですね。
更にそれだけにとどまらず、クライマックスではライオホープレイが画面を縦に真っ二つにして、遊馬とアストラルがシンメトリーにアップで映ります。
そしてその後レギュラーキャラが画面いっぱいに飛び跳ねるカットもまたシンメトリーな動きを作る、という映像の流れの組み方が実に見事。
また、このOPは神代璃緒(包帯がとれるカットの子)の顔見せ追加や、サビのバリアン側の影が解除されていったり等ギミックも多く仕込まれていて、ただでさえ見飽きない上に変化を楽しむこともできたりなんかします。理論上最強です。


・『謎の彼女X』「恋のオーケストラ」

今年OPを楽しみにしていた作品といえば思い当たるのが本作。
なんといってもサビの「線路の上を歩く→電車が来る→電車の中から海を臨む→海辺で踊る」といった合間を飛ばすカット割りの気持ちよさですね。
Aメロ辺りの日常風景から、風景は現実的でありつつもイメージの飛び方が夢見心地な、サビへの遠過ぎない飛躍という絶妙さが本作らしさを表しているようでもあります。多くの人々の中から卜部と椿が引き合わせられる、それをレモンをモチーフにして描く縦軸の作り方も流石と唸らさせられる演出でした。


・『恋と選挙とチョコレート』「シグナルグラフ」

なんとなく、けれどかなり気に入っているOP。
画像で上げた二枚目、三枚目辺りの、サビでのカットが気に入っていて、リピート向きな動きのつけ方なんだけど結構ぱっぱとカットが切り替わっていくのが独特で何だか印象に残るんですよね。
合田浩章さんの、立体感までしっかり加味されたデザインも良かった。この、どーんと出るテロップですよw


・『エウレカセブンAO』「Escape」

後期OPに持っていかれてる感があったりするんですが、前期がなかなかお気に入りです。
あくまでアオにカメラを置いて、周辺人物は半透明なオーバーラップや1カットだけにする潔さや、サビになるまでニルヴァーシュとアオが別々に動いている謎さが癖になりますw
パイド・パイパー乗組員の集合カットのアップの織り交ぜ方だとか、最後にゲオルグがぽっと出てくるところも独特な小気味よさがあって良い。
ニルヴァーシュの瞳にアオが映り、ニルヴァーシュに乗ったアオのヘルメットにナルが映る連鎖を見せておいて、幼少期のアオ→現在のアオ→ニルヴァーシュのつなぎから母エウレカに向かい、ナルに引き戻されるおあずけ感も独特な鑑賞感。


・『ファイ・ブレイン 〜神のパズル』「Now or Never」
D
なんとなくお気に入りなOPその2。
無理やり情報量を増やそうというケレンっぷり満点な流れからの、最後のラフな画というこの強引さw
イントロとアウトロの対比的な見せ方とオルペウス・オーダーのフラッシュカットがクール過ぎて歌の部分の印象が薄いってバランス感も何か凄いです。
ああでもノノハの髪解きが伏線だとは思わなかったです。格好良さからが理由の100%だとばかりw


・『戦国コレクション』「back into my world」

観て!!!!!!! 最終回まで観て!!!!!!!!!!!!
以前の記事でも書きましたが、この後期OPがかかる一つ前がシンメトリーな構図の印象的な善住坊回で、そこからこの信長と光秀の対比。
加えて「いくつもの場面の中で」という作品にあわせた歌詞にのせ後半のメインキャラを見せる流れは、ここまででノリを掴めてきたところへの強烈な一撃でした。
小島崇史さんと思われるサビの信長の剣戟カットの最後の方のオバケや、光秀が迫るカットの髪のハイライトの動き等はとても好きな作画です。
<追記訂正>
某誌によると、光秀が迫るカットは後藤圭二さんによる第一原画で、小島さんではないようです。
その一原ではハイライトは乗っていなかったので、第二原画を担当された方か、作画監督の柴田勝紀さんによるものと思われます。
なお、信長の剣戟カットは小島さんで合っているようです。


【ED3選】
・『ゆるゆり♪♪』「100%ちゅ〜学生」
松尾祐輔さんと柳沼和良さんの絵の描線までしっかり拾っている丁寧な仕事が良いですね。
背景も柳沼さんいわく美術さんがレイアウトを忠実に拾った仕事をされたそうで、背景含めて魅力的な絵になっています。
背景のこのシンプルさと色使いはわたせせいぞうさんや鈴木英人さんらのイラストっぽさもあるのが面白いところです。


・『君と僕。2』「君と僕の挽歌」
キャラを横並びにして、いかにもカメラで撮っている風な構図をスクロールする、というこの手の構図が好きな自分には結構ストライクだったED。
いや、こういう演出自体はストレートじゃないと思うんですけどw
影の落とし方やPAN速度など、シンプルな技術も丁寧に使うところに神戸守さんの力量を感じます。


・『ハイスクールD×D』「STUDY×STUDY」
エス、テンコー!
なんというかもうこれはしょうがない。そういう枠です。
やっぱりシートワークが抜群に上手いよなあと思わせるリピートや、ポールダンスのカットを広角気味にしちゃう空間の見せ方が凄い。
ポールダンスの影までしっかり描く上、文字が切り抜かれてて、過剰気味になりそうなところをそのデザイン感でなじませているのがクール。


といった感じで、『遊☆戯☆王ZEXAL II』と『ファイ・ブレイン』の三期がぶつかりそうで今から来年が心配な年の瀬でございます。

映画『スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』感想 - 鳥と花が交差する演出

というわけでだいぶ出遅れましたが、映画『スマイルプリキュア!』感想記事です。
今作はTVシリーズでウェルメイドなエピソードを何本も手がけられている若手の黒田成美さんの
初長編監督作ということで期待していましたが、面白い作品になっていて楽しめました。
なので、今回は黒田成美さんの演出にフォーカスして感想を書いていこうと思います。
あ、ネタバレは当然入りますので、ご注意を。まあ、もう結構経ってるのでなんですが……。

続きを読む

最近のアニメのPOV(主観)カメラ演出あれこれ

POVとは「Point of View」、作中の視点の存在がはっきりしたショットのことで、主観的な映像として用いられるカメラワークを指します。
例えば作中にいる登場人物自身から見えている映像を直接、あるいは手持ちカメラのような視点で映す、というような映像ですね。
作中にカメラ等の視点がはっきり存在するように意識されるので、このPOVを効果的に用いると、より感情移入しやすくなったり、臨場感が増したりします。
ここ最近、アニメを観ていてこのPOVを使った演出を目にする機会が増えたので、気になるものをいくつか見ていこうと思います。


・『ガールズ&パンツァー

まずは『ガールズ&パンツァー』のこのインパクトのある第1話ファーストカットから。
戦車砲塔の下程に備えたカメラから撮ったようなこの画面は、作品内に「カメラ」が存在するような意識を与えます。
第1話においては俯瞰、アイレベルに近い水平なアングルが多く、劇的ではなく第三者による撮影のような感触のある演出になっていると感じます。それでいて要所に主人公みほの主観カットや生徒会面子の煽りのカットも入れる辺りは的確で上手いですね。
OPにおいてはファーストカットがまさにカメラがみほ達を捉えるというもので、一種彼女達をドキュメント的に捉える意図がある演出方針なのかも知れません。
少女達の日常と、戦車を扱い戦う"状況"を同時に見せるにはぴったりなスタイルかな、と思います。
カメラの存在が作品内に入り込んでいるスタイルなので、隠しカメラ的なアングルのPOVをここぞの場面に持ってくるのが効いてくると感じたカットでした。

続きを読む

『戦国コレクション』が描くシンメトリーな関係 - いくつもの場面の中で

以前に映像的なテーマをひとつの話の中で追っていく演出について書きましたが、今回はシリーズ全体を通して描かれるテーマ的な映像について追っていこうと思います。
作品はいよいよ終わりも近づいている『戦国コレクション』です。
本作において注目したいのは度々現れる(全話通底ということはないですが)シンメトリーな構図のカット。
それらが描くものが何なのかを追って行きましょう。


・COLLECTION-1 「Sweet Little Devil」

最初は信長から。現代で出会った太田のところで一宿一飯に預かる場面で、ちょうど一飯と一宿なところでシンメトリーなカットが描かれていますね。
そんな中で現代も良いところだと思う信長ながら、彼女は太田のもとを去り、戦国世界へ帰るための旅に出る。
この記事で取り上げるシンメトリーは背丈も一致してなければならないということではなく、人物配置によるものです。

続きを読む

夏コミ寄稿本委託開始の告知と最近観た『ダークナイト ライジング』『アベンジャーズ』のこと

前回同様映画のちょっとした感想です。
ネタバレがあるので、今回また告知の方を先にさせて頂きます。


先の夏コミにて頒布されましたアニプレッションさんの「アニプレッションVol.3」のとらのあなでの委託販売が開始したそうです。
こちらに拙稿「東映アニメファン視点による個人的『プリキュア』シリーズ史観と各作品紹介」を寄稿させて頂きました。
他の記事も巻頭富野由悠季監督特集、『夏色キセキ』全話レビュー等と盛り沢山の内容になっています。


詳しい内容についてはこちらのアニプレッションさんの記事をご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/anipression/archives/51355164.html


ご購入はこちらから出来ます。
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/06/82/040030068202.html


また、クレジットカード決済のみですが、送料を抑えられる店頭受取サービスもあるそうです。
http://www.toranoana.jp/mailorder/guide/guide/guide_044.html#3


そんなわけで、「アニプレッションVol.3」をよろしくお願いします。

続きを読む

夏コミ寄稿告知と『おおかみこどもの雨と雪』感想〜フレームの外側

おおかみこどもの雨と雪』を観てきたので、今回はその感想を。
当然のごとくネタバレ記事となります。
また、ヴィクトル・エリセ『エル・スール』に触れてるのでご注意を。
いや、ネタバレあるぶんの字数稼ぎで言ってるだけなので大したことじゃないですが。
あ、というか字数稼ぎなら告知をしてしまえば良いですね。告知です。


今回のコミックマーケット82において頒布されますアニプレッションvol.3に寄稿をさせて頂きました。
東映アニメファン視点による個人的『プリキュア』シリーズ史観と各作品紹介」という記事になります。
タイトルの通り、各『プリキュア』シリーズを俯瞰的に振り返りつつ見所を紹介する形になっています。
9作分なので全体としては長めですが、各作ごとに分けて書いてあるので気楽に読めると思いますので、よろしければ。
概要としましては、以下の通りになります。

本名     :アニプレッションVOL.3
場所     :コミックマーケット82
日にち    :2012年8月12日(3日目)
サークル名  :アニプレッション
配置     :東T-25b
価格     :400円
公式ブログ( http://blog.livedoor.jp/anipression/archives/51355164.html )より


何卒よろしくお願いします。では感想の方へ。

続きを読む