輪るピングドラム1話感想 - 相対する二つの要素

輪るピングドラム』が1話から早速面白かったです。
クリスタルワールドでの飛躍とその映像自体のテンションにやはり痺れますが、この記事では全体の構成について触れてみようと思います。


演出については先に書かれた記事が大変面白いので、今回もまた紹介しますw


ピングドラムの演出を語る上でのフレームワーク - まっつねのアニメとか作画とか
輪るピングドラム第01話の演出の解説 赤と青の意味 赤と青の魔女の正体推測 - karimikarimi


これらの記事で取り上げられている「白と黒のシーンの連続」や「赤と青」もそうですが、今作では相対する二つの要素が非常に印象的に用いられているように感じました。
OPからして冠葉と晶馬を対比させたり、銃持った人のシーンでは黒い背景のカット→白い背景のカット、樹璃さんチックなキャラの赤いカット→メガネの人の青いカット、馬越さんパートの白い背景→目の中から赤い背景のカットと、対比的な色のカット割りが多い。


本編では更に、アバンとラストのモノローグ、最初の日常と陽毬が蘇ってからの日常等、反復して対比させる構成が取られていますね。
赤と青の冠葉と晶馬の対比が目を引くような部分だと思いますが、陽毬にも相対する二つの要素があります。
始め死を宣告され、一度死んでしまう死<タナトス>の要素と、蘇った後プリンセス・オブ・ザ・クリスタルとなり生存戦略を行う生<エロス>の要素ですね。
病気について告げられるカットではそれまで混沌としていた画面の色が青一色に、手術室では全体の色が淡く白に、死後の場面では赤が画面を支配します。
刺激的な色の画面から一転して単色に支配された画面は静的で、死を想起させます。
一方、蘇った陽毬に関してはやはりクリスタルワールドでの生存戦略の動的さですね。
球体の出るカットでの心電図のような、しかし良く見ると遺伝子の形をした背景や、音楽に合わせたカット割りと作画のタイミングのつけ方、そこで描かれるプリンセス・オブ・ザ・クリスタルの衣装とそれが脱げていく様等。
何度か指摘されているのを読みましたが、子宮(改札)、卵子(球体)、精子(ミサイルのようなメカ)を連想させるデザインとカット割りのモンタージュも先の要素と共に生を想起させる要素ではないかと思います。
陽毬が死ぬ水族館でのシークエンスの前では白い背景の改札のカットが、クリスタルワールドに突入する際には黒い背景の改札のカットが用いられる辺り、意識的な対比でしょう。


こうした陽毬の死の静的な描かれ方からの、プリンセス・オブ・ザ・クリスタルの生存戦略の動的な映像という構成は死<タナトス>と生<エロス>の対比が際立ち、生存戦略でのテンションの加速にもなって見事でした。
様々な対比的な要素を孕んだピングドラムの表現・演出は非常に面白く、この先どんな映像が観られるか今から楽しみですね。