2013年TVアニメOP/ED5選

今年も残り僅かということで、恒例の便乗振り返り企画です。
まずは今年のTVアニメで印象深かったOPとEDから挙げていきたいと思います。
他の皆様は10選という形が多いですが、私が10ずつ選ぶと散漫になりがちなので、メリハリをつける意味で5選ずつとしました。


【OP5選】
京騒戯画「ココ」

松本理恵さんらしい、POV(劇中カメラ)やジャンプカットによるスタイリッシュな見せ方が印象的。
箱庭のような背景と、POVによりはっきり存在が描かれるカメラというメタ的な構図を大胆に入れているのですが、
それがかえって舞台の上でキャラクター達が活き活きと動く存在感に結びついているのが面白いです。
ラストカットの、カメラが壁側に移り、それまでカメラがあった方を映すと青空が広がっている、という見せ方も良いですね。


・波打ち際のむろみさん「7つの海よりキミの海」

暴走系アニメーターでもある吉原達矢監督の暴れっぷりが活かされたスケールのでかさが楽しいOPでした。
タイトル出しの合間のむろみさんによる手話がちょっとした話題になりましたが、
隕石を押し返すとか、ボタンを押しちゃうとか、結構手を強調した見せ方の多いOPだったりもします。
人魚の中でも人間と特に変わらない身体の部分を強調することで、視聴者との距離感を近づけているのかな、と思ったり。


帰宅部活動記録「2学期デビュー大作戦!!」

このOPは、まずタイトルが録の字から逆に出てくるのがミソですね。
というのも、このOPは途中まで顔を見せていなかった桜がサビ前に現れ、サビで帰宅途中の夏希を連れて学校に逆走するという展開なのです。
つまり、逆行することをテーマにしてしっかりまとめたOPアニメとして演出されているのではないかと。
本編でも帰宅部なのになかなか帰宅しない彼女らの、流れに逆行する破天荒さがひとつのストーリーをもって展開される、良いOPだと思います。
しかし、古橋も部活行けよ!


キルラキルシリウス

真っ白な背景に平面的にキャラを配置して紹介する今風のスタイリッシュな見せ方から、
サビで画面所狭しと1クール目の敵を出しまくる構成はやっぱりとても盛り上がります。
バカバカしいまでのストレートな見せ方をやり切る清々しさを感じますね。
あと、キャラ紹介パートでマコだけ動いてる辺り流石だなとw


・はじめの一歩 Rising「夜間飛行」

こちらも、撮影や特殊効果も込みでの一枚絵的な見せ方をするサビ前から、サビで一気にカメラが動き回る構成が格好良すぎます。
石上ひろ美さん、富岡隆司さん、澤田英彦さん、甲田正行さんといったアクションを得意とする方々の仕事と思われる、
タイミングのつけ方、空間の見せ方、描線といった技術の結集した映像がとても気持ち良いです。
武藤健司さんの演出も、テロップの出し方などでしっかりフィルム全体のテンポを押さえている感じで良いですね。

続きを読む

『[新編]まどか☆マギカ』と『戦国コレクション』、叛逆のほむらと謀叛の光秀

もはや先月の話ですが、『[新編]まどか☆マギカ 叛逆の物語』を観ました。
だいぶ間も開いたので、ネタバレとかは特に気にせず、かと言って本筋の話もするわけではなく、
この映画を観ていて『戦国コレクション』のことを思い出した、ということを書こうと思います。


『叛逆の物語』では、今の世界が虚構であり、それを作ったのは自分の心だとほむらが気づくのが中盤までのストーリーです。
これは『戦コレ』の第19話で、探偵として事件を追っていた明智光秀が、自分が犯人であるという真相にたどり着いてしまい、
その真相が失っていた自分の本当の記憶である、織田信長を殺してしまったことだったというストーリーを彷彿とさせます。
『叛逆』では真相に気づいた時は世界が焼け落ち、『戦コレ』第19話では世界が舞台となり幕が下ります。
その後、ほむらのソウルジェムが魔女のそれ以上に黒く染まるのは、
『戦コレ』第20話の光秀の秘宝が嫉妬によって生まれる部分に近い印象でした。


そして、ここからが重要なところです。
ほむらはまどかの作った理に逆らい、彼女が人間として自分と対等な状態となるよう理を作り替えます。
一方の光秀はというと、最終回で彼女は信長の行ってきた秘宝集めに介入し、信長と対等な舞台に上がります。
『叛逆』では、ほむらは新たな理の世界でまた転校するところから始めます。
つまり、もう一度やり直すということをしているんですね。
次に『戦コレ』最終回ですが、こちらは今川義元が信長への雪辱のため、再び戦を仕掛けるところから始まります。
そして、信長と光秀がそれを撃退した後は、光秀が再び信長に逆らい、彼女から秘宝を奪い上記の関係となります。
これはつまり、義元による二度目の桶狭間の戦い、光秀による二度目の謀叛というやり直しを描いていたのではないかと思います。
その後、信長と光秀は今までの道を戻るように走り、場面は今まで出てきた各キャラに移っていきます。
これらは全て、もう一度やり直すという意味を持っているように映ります。
ほむらの叛逆と、光秀の謀叛は、どちらも同じ自分の想いのためにもう一度やり直す行為という点で、前者を観て後者を連想しました。


これは当然、『叛逆』が『戦コレ』の真似などと言いたいわけではありません*1
百合的な内容でこういった行為が被るのは面白いし、何より描かれ方の違いが出ていたのが興味深いところでした。
『叛逆』のほむらの行為はまどかの理を書き換え、まどかの本心とは対立する、一種の悲劇的なものでした。
『戦コレ』の光秀の行為は、二度の謀叛を行うことで信長と同じ場所に居られることを選択する、いわゆるハッピーエンド的なものです。
展開や行為に類似点が多いのに、表現したい情感や印象のベクトルが逆というのが、映像作品的な面白さだなと感じるところでした。


ちなみに、『戦コレ』は各話オムニバスで毎回違ったテイストのシナリオや美術が楽しめる作風なので、
ご興味のある『まどマギ』ファンの方はぜひご覧いただければと思います。
結構アーティスティックな美術で、色使いもいいので『まどマギ』好きな方にもいいのではないかと。


戦国コレクション関連エントリ

*1:『戦コレ』を観て構想を考えるというのはスケジュール的に不可能ではないかとも思いますし。

文学フリマ発刊『アニバタ Vol.6 [特集]最近の京都アニメーション』への寄稿のお知らせ

あれ、一つ前の記事も寄稿のお知らせだ……。
なかなか更新できずにこの体たらくとは、良くないですね……。


気を取り直して、お知らせです。
今回もアニメ・マンガ評論刊行会様の発刊する評論集に寄稿をさせていただきました。
こちらは11月4日に東京流通センターで開催される文学フリマにて頒布されます。
以下詳細です。

タイトル: アニバタ Vol.6 [特集]最近の京都アニメーション
体裁: B5判 全124ページ (表紙を含まず)
発行日: 2013年11月4日
発行所: アニメ・マンガ評論刊行会 (非公式本)
Amazon.co.jp特別価格: 税込1780円
通常価格: 税込1280円
イベント特別価格: 1000円
書店委託: COMIC ZINタコシェ、グレップ、アリスブックス、Amazon.co.jpを予定(詳細未定)。


こちらにある通り、書店や通販委託もあるようなので、イベントに行けない方、遠方の方はこちらをご利用頂ければと思います。


今回は『中二病でも恋がしたい!』について書かせて頂きました。
中二病にもエンターテインメントの矜持がある! 『中二恋』と『帰マン』の間で』というタイトル通り、
後半の展開含めて『中二恋』はエンターテイメントとして魅力的だった、というのを、
なぜか『帰ってきたウルトラマン』などを引き合いに出しつつ書いています。
そんな感じで、個人的に今回はひとつ挑戦を込めた書き方をしているので、ぜひご一読頂きたいと思っています。
アニメ・マンガ評論刊行会様は校正作業もしっかり行っているサークル様で、
そのご尽力により挑戦しつつ読みやすさもある程度損なわずに済んだのではと感じます。
編集長の群馬仁さんと代表のたつざわさんには大変感謝しております。


今回の特集もバラエティ豊かな記事が並び、近年の京アニ作品への様々な視点を知ることができるのではないかと思います。
何卒よろしくお願いします。

C84発刊『アニバタ Vol.4・5 ([特集]P.A.WORKS)』への寄稿のお知らせ

以前の『話の飛躍についていけません ――志村貴子『青い花』評論集――』に続いて、
またアニメ・マンガ評論刊行会様の発刊する評論集に寄稿をさせていただきました。
今回は夏のコミックマーケット84にて3日間委託頒布されます。
詳細は下記の通りです。

新刊タイトル
アニバタ Vol.4 [特集]P.A.WORKS ①総論ほか編(B5判 全132ページ)
アニバタ Vol.5 [特集]P.A.WORKS ②作品各論編(B5判 全204ページ)


頒布場所
2013-08-10(土) 【1日目 東5ホール ハ-49b】 M.O.M.発行準備組合様に委託
2013-08-11(日) 【2日目 東2ホール P-06a】 アニプレッション様に委託
2013-08-12(月) 【3日目 東6ホール ソ-60b】 デシリットルシロップ様に委託


書店販売
COMIC ZIN(秋葉原店・新宿店)、タコシェ(中野)、アリスブックス(通販のみ)、Amazon.co.jp(通販のみ)を予定。


http://www.hyoron.org/anibata4_5


今回はVol.4に、「アニメ制作会社5社解説 Production I.G、ビィートレイン、エム・エス・シー(M.S.C)、ボンズ京都アニメーション
Vol.5に作品論として『CANAAN』を扱った、「『CANAAN』の戦略 岡田麿里の「爆弾」と安藤真裕の「水気」」を寄稿しています。


Vol.4に寄稿した「アニメ制作会社5社解説」は、座談会の補助線となる、P.A.WORKSと縁のある、
または対比的に見ると興味深い5社を紹介・解説したものです。
他にも「アニメ制作の役職・工程・用語解説」「P.A.WORKS主要作品のメインスタッフ解説」「P.A.WORKS制作作品データベース」など、
アニメ制作や制作者・制作会社のデータを取り扱う記事も多く、傍らに置いても重宝するのではないかと思います。
基本的にファンの手によるものであり*1、あまり専門的なことは分からないとお思いの方にも
目線の高さにギャップが起きない、とっつきやすいものになっているのではないかとも思っています。


Vol.5の「『CANAAN』の戦略」は、先述の副題にある通り、岡田麿里さん、安藤真裕監督の分析を中心に、
CANAAN』という作品が何を描こうとしていたのか、そしてそれはPAの作品群の中でどういった位置にあるのかを考えたものです。
私事としては、先述した『青い花』ともども、2009年に楽しんで観ていた作品を振り返る機会になっているのが妙な気分であったりも。
そして何気に百合つながり……というのは、言うまでもなくw
なんとこのVol.5は200ページを超えるボリュームで、各TVシリーズ作品にかなりの方が寄稿をしており*2
様々な受け手の見方が集まって多面的な解釈ができる一冊になっているのではないかと思います。


データや総論を収録して、アニメ制作などの理解の助けになるであろうVol.4、
多くの受け手の解釈が多面的な視点を与えてくるであろうVol.5と、
企画・編集を行ったたつざわさんのP.A.WORKSへの愛と誠意が強く反映された二冊になっているのではないかと思います。
何卒よろしくお願いします。

*1:とはいえ皆半端な調査はしていないであろうとは言っておくべきでしょう

*2:締切的に厳しかった『RDG レッドデータガール』にも二人、という辺りもびっくりでした

『風立ちぬ』にあった映画の時間

先日『風立ちぬ』を観てきました。面白かったです。
久しぶりにスタジオジブリ作品で映画なるものを観た気分になれました。
以下、そのネタバレありの感想です。


堀辰雄の小説『風立ちぬ』は個人的に、不思議な感覚をもった作品でした。
この小説は、堀自身の婚約者との日々を下地にした私小説的な内容でもあり、
作中でも触れているようにノートにそれを記述している形式のため、基本的に過去形で進行します。
一方で、そうした記述の中、ある時から現在形の文体が現れてきます。
それは「冬」の章、記述に日付が加えられだしてからの、十一月二日の記述で初めて現れます。

十一月二日
 夜、一つの明りが私達を近づけ合っている。その明りの下で、ものを言い合わないことにも馴れて、私がせっせと私達の生の幸福を主題にした物語を書き続けていると、その笠の陰になった、薄暗いベッドの中に、節子は其処にいるのだかいないのだか分らないほど、物静かに寝ている。ときどき私がそっちへ顔を上げると、さっきからじっと私を見つめつづけていたかのように私を見つめていることがある。「こうやってあなたのお側に居さえすれば、私はそれで好いの」と私にさも言いたくってたまらないでいるような、愛情を籠こめた目つきである。ああ、それがどんなに今の私に自分達の所有している幸福を信じさせ、そしてこうやってそれにはっきりした形を与えることに努力している私を助けていて呉れることか!


http://www.aozora.gr.jp/cards/001030/files/4803_14204.html

この次の十一月十日の最初の段落の現在形は、数日分の様子の描写のためにその文体が選ばれていると自分の中では仮定しているのですが、
この十一月二日の記述、またその後に続く十一月二十八日後半、十二月一日の記述における現在形はそうした様子ともまた違う。
そこを気にして読んでいくと、「死のかげの谷」の章の十二月十日の、
「この数日、どういうものか、お前がちっとも生き生きと私に蘇って来ない。」
の一文から始まる記述に驚かされます。
そして、この小説の最後の一文も現在形の文体をとっています。
もう少しこの堀の話を続けますが、こうした文体による時間への意識は、彼のマルセル・プルーストからの影響を感じさせます。
プルーストの代表的な大作『失われた時を求めて』は、紅茶に浸したマドレーヌの香りと味によって
過去の記憶が鮮明に蘇るところから始まるものでした。


長くなってしまいましたが、翻って今回の映画『風立ちぬ』も、時間の捉え方が印象的でした。
それこそカプローニが「設計師の寿命は10年」と言い切ったことや、結婚の際に二郎が宣言をしたように、
本作ははっきりとしたタイムリミットをもってきています。

続きを読む

『ガッチャマン クラウズ』への期待〜一ノ瀬はじめと南野奏

ガッチャマン クラウズ』楽しく視聴しています。
今作はまず、ガッチャマンシリーズの新作でありつつ、個性派・中村健治監督による自由なイメージの刷新にやはり驚かされます。
一方で、個人的に『つり球』に続いて中村監督と組む、シリーズ構成の大野敏哉さんにも注目していたりします。
今回はそのお話。


・前作『つり球』と前前作『スイートプリキュア♪
まず私はプリキュアシリーズのファンなので、大野さんといえば『スイートプリキュア♪』のシリーズ構成でアニメ畑に入ってきた方。
そんな『スイプリ』を終えて参加された『つり球』も、その二つの仕事を踏まえると面白い図式がたつなと感じました。
『スイプリ』は、主人公・北条響が妖精ハミィと出会いプリキュアになる一方で、友人らに支えられながら音楽を再び愛せるように変わっていくお話でした。
そして『つり球』は、主人公・真田ユキが宇宙人ハルと出会い釣りを始め、友人ができてコミュニケーションが改善されていくお話でした。
どちらもひとつ、主人公の心の癒しを描いたリハビリのようなお話が縦軸としてあるんですね。
もうちょっと突っ込んで各キャラクターを見ても、実は結構共通点が多いと思っています。
試しに、左が『スイプリ』、右が『つり球』のキャラ。


北条響←主人公。徐々に心が癒されて変わっていく→真田ユキ
ハミィ←別の世界から来て主人公と出会う。ひたすらに純粋無垢→ハル
黒川エレン←それぞれハミィ・ハルを目の敵にするライバルだが、仲間に。天然な一面も→アキラ・アガルカール・山田
調辺アコ←クールなメガネ。家庭に問題を抱える。経験面で主人公の先輩格→宇佐美夏樹


最もわかりやすい部分で、それぞれ主人公を導く老人として調辺音吉、真田ケイトというキャラが配置されているのもあります。
と調子よく書いてきましたが、『スイプリ』をご存知の方なら少しおかしいと思うはず。
ここには北条響の親友、南野奏がいません。
多分、『つり球』でいえばココ*1辺りに当てはまるのだと思いますが、今ひとつこの奏の要素はこの作品では引っ込んでいた印象です。
ではそんな南野奏とはどんな人物なのかというと、



第7話において人探しの最中、諦めようとする響に怒り「脚くじいた」といっておんぶさせ(画像左)、
少し休憩したらけろっとして、脚について尋ねられると「さっきは痛かったの(ハートマークのつく発音)」の一言で一蹴。
イケメンに目がなく、先輩の王子正宗を見ると「王子先輩王子先輩王子先輩王子先輩王子先輩王子先輩(ry」といった有様(画像右*2)。
という感じで、とても女子らしいキャラクターです。『つり球』はやっぱり男子メインですから、引っ込むのも必然でしょうか。
『スイプリ』の境宗久監督も、対談インタビューのなかで奏について

 奏はわりと唯我独尊ですからね(笑)。


アニメージュ2012年2月号 スイートプリキュア♪ 幸福のメロディを奏でる日まで

と仰るほど。
本筋から少しずれたところで発揮されるそんな彼女の個性は、個人的に大野さんのカラーでもあるのではないかと思っていました。


・そして『ガッチャマン クラウズ
前置きが長くなりすぎましたが、そこで今回の『ガッチャマン クラウズ』。
主人公は一ノ瀬はじめという女の子。しかも公式サイトのキャラクター紹介には

「美しいか、美しくないか」「かわいいか、かわいくないか」を判断基準とし、マイワールド全開で突っ走って行ってしまう


http://www.ntv.co.jp/GATCHAMAN_Crowds/character/index.html

とあり、期待させてくれます。そして実際に見てみると、予感は確信に変わりました。

*1:上述したハルの妹

*2:第41話

続きを読む

『あいまいみー』と『あいうら』から5分ショートアニメの制作形態を考えてみる 音響編/6/10追記

記事を書くのが久々になってしまいましたが、今回は作品ごとや各話ではなく、ここ最近地位を確立しつつある5分枠のショートアニメという括りを見ていこうと思います。
その中でもとくに音響の一部分、アフレコ周りについて。
扱うのは前期の『あいまいみー』と、今期の『あいうら』です。


まずは『あいまいみー』の話から。
あいまいみー』は放送後、ロフトプラスワンのイベントの配信や、ニコニコ生放送での番組など*1で、いまざきいつき監督が出てくることが結構あり、そこでの制作の話が興味深いものでした。

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137122493

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137768191


具体的に気になったポイントというのが先述したアフレコの話で、前者の配信を聴くと、結構アフレコ収録を粘っていたという話。
後者の配信でも、台詞のイントネーションなど細かな言い回しで、OKテイクが出るまで結構かけていたことを伺わせる話が出ていました。

内田彩
大変だったのは、監督のこだわっている台詞をどう音で表現するか。監督のこだわりに、全部、一ミリのそぐいもないぐらい(中略)
本当にそういう、色んなところを監督がすごいこだわっていて。何回も何回も監督がぴったりくるところまで、すごいこだわって。


大坪由佳
あと私も、愛がエロ本捨てた時*2の「おおう……」みたいな反応は、すごい監督に指示を頂いて。
でも結局最終的にちょっとわからなくなって、「自分なりにやってみていいですか」っていってやったら「それだよ!」って。


大坪由佳
当日(茅野愛衣に)紙が来たんですよね。「ぬとねの間の音でお願いします」みたいなことが書いてあって。*3

http://live.nicovideo.jp/watch/lv137768191


多少書き言葉に変えつつ起こしていますが、大体こういった話でした。
いまざき監督は原作のネタの再現を重視しており、ネタ台詞のイントネーションはこのように、イメージにぴったり合うまで粘っていたようです。
それは監督のTwitterでのこうした発言からもわかりますね。

ちなみに“魚ターンあーんどロールケーキ!”はちょぼ先生に直々に教わったニュアンスですのであれが正式な読みと発音です。皆さんも折あればお使い下さい。
https://twitter.com/itsuki_imazaki/status/312604974855102465


といった部分がどうしてそこまで気になったかというと、細かなネタひとつに粘る、というやり方は、本編の尺が5分だからこそ出来る時間のかけ方じゃないか、と思ったからです。
収録すべき尺がそもそも短ければ、個々の台詞のイントネーションを粘るというのがやりやすくなるから、こうしたことが出来たのかな、と。
30分尺と同じような収録形態なのかは分かりませんし、どこまでそれと単純な比較が可能かも微妙ではありますが、本編5分尺という下地がなければ不可能なやり方なんじゃないかと思います。

*1:URLは貼りつつも、ちょっともうチェックしようがない感じですが、今後そういった機会がないとは言い切れないので、配信元のバンブーちゃんねるさんをチェックしていただければと……。

*2:第11話「バタートランス仙人」

*3:第9話「FX」

続きを読む